公開日:2026年10月14日

海外旅行保険における医療機関からの紙の請求書の処理時間を、約半分に短縮した業務改革

効果:

・請求書処理時間を大幅に短縮
・お客様からの進捗確認に対する、タイムリーでスムーズな回答の実現
・請求内容の自動処理による、入力作業の削減とヒューマンエラーの抑制
・請求内容の自動処理と確認プロセスによる、業務品質の向上

―担当者氏名
損害サービス部 マネージャー Y.M様
損害サービス部 M.N様
ビジネスプロセス改革部 N.M様

—まずは、御社の事業内容と皆様の担当業務について教えてください。

N.M様: エイチ・エス損害保険株式会社は、主に海外旅行保険をはじめとする多様な保険商品を取り扱っております。私が所属するビジネスプロセス改革部は、その名の通り、業務プロセスの改革を通じて会社全体の生産性向上や業務品質の向上を実現することをミッションとしています。
単なる部分最適ではなく、会社全体としての「全体最適」を意識しながら、現場部門の業務における課題点に対して、AI-OCRなどのツールや技術を活用した解決策の検討・提案や、手作業で行っている業務の自動化を支援し、導入後の活用フォローまで横断的に行っています。

Y.M様: 損害サービス部では、主に海外旅行保険の事故受付から保険金の支払いまでを担当しています。私たちの最大のミッションは、海外という慣れない土地で事故や病気などのトラブルに遭われ、お困りになっているお客様に対して、適正な保険金をできるだけ迅速にお支払いすることです。
日々、お客様から届く診断書や領収書などの請求書類を確認し、保険金のお支払い対象になるか、いくらお支払いするかを約款に基づいて判断する査定業務を行っています。また、部内の業務フローの見直しやシステム改善、AIを活用した業務効率化にも取り組んでいます。

世界各国から、言語もフォーマットもバラバラな書類が届く

—海外旅行保険の請求処理において、他保険と異なる「特有の難しさ」はどこにありますか?

Y.M様: 最大の違いは、「世界各国から、言語もフォーマットもバラバラな書類が届く」という点です。
日本国内の医療機関であれば、領収書や診療報酬明細書のフォーマットはある程度標準化されているのですが、海外の場合、各国の病院や薬局が発行する診断書やレシートは、国や機関ごとに非定型です。英語だけでなく、現地の多様な言語で書かれており、印字だけでなく手書きの書類も多く存在します。同じ領収書であっても、患者名、日付、金額などの必要情報がどこに記載されているかがすべて異なっています。

—RECERQA導入前の業務フローや苦労していたことを教えてください。

Y.M様: これまでは、これらすべての書類を、査定担当者が1枚ずつ目視で解読し、手入力で基幹システムに入力して査定を行っていました。人の目で見て入力すると同時に査定を行うこととなるので、時間がかかり、入力作業がボトルネックになっていました。特に繁忙期には請求件数が増加するため、書類確認や入力作業に時間を要し、査定着手までに通常より時間を要するケースもありました。お困りのお客様を待たせてしまうことが、私たちにとって何としても解決したい大きな課題でした。

また、紙の書類を手入力する中で、入力ミスや勘違いによるミスも発生していました。例えば、海外の領収書に記載されている通貨。一見すると「$」としか書かれていないため、USドルだと思い込んで処理を進めていたら、実はオーストラリアドルや台湾ドルだった、ということが起こり得ます。このミスが起こると、通貨や為替レートの取り違えが発生し、最終的なお支払い保険金額が大きく変わってしまう可能性があります。
手入力の場合、通貨の見間違いや為替レートの確認・計算時の入力誤りなどが生じるリスクがあるため、正確性を高めることも重要な課題でした。

展示会で出会った「非定型帳票の対応力」

—数あるソリューションの中で、なぜリチェルカを選ばれたのでしょうか。

Y.M様: 損害サービス部ではかねてからシステムの再構築によるDX化に向けた取組を実施していたのですが、紙のデータ化部分については、開発期間や費用の兼ね合いから先送りにせざるを得ませんでした。

N.M様: 紙のデータ化については課題認識がありましたが、具体的な解決策は見えていない中で、最新ツールや技術の情報収集のために2024年10月の展示会に行った際に、リチェルカさんとお会いしました。いくつかの製品を見る中で、RECERQA Scanの「非定型帳票の対応力」がとても衝撃的でした。「これなら当社が扱う多様な海外書類にも柔軟に対応できるかもしれない」と思ったことを覚えています。
後日、詳しいご説明を伺った際、その精度の高さに改めて驚きました。AI-OCRは他社さんの製品でも触ったことがあったのですが、非定型帳票がここまで読めるのなら、と思い検証に進みました。

最終的な決め手は、単なる「文字の読み取りツール」としての性能だけでなく、「書類の仕分けからシステム登録まで、業務全体の効率化・高度化が図れること」です。リチェルカさんは「書類を読み取って終わり」ではなく、そのデータをどのように活用すべきなのか、業務全体を効率化するためにどうすれば良いのか、を当初から一緒に考えてくださったことがとても良かったです。将来的な展開が見込める点は、長期的に見ても導入する価値があるなと感じました。

金融機関としての厳しい選定基準。不安を解消した迅速な回答と伴走

—導入にあたって、不安はありませんでしたか?

N.M様: 正直なところ、金融機関という立場上、セキュリティ面や業務継続性に関する選定基準は非常に厳しく、新しいサービスの契約には慎重にならざるを得ない面はありました。しかし、導入判断に必要な疑問や課題に対して、梅田さんと幸田さんが常に迅速に回答や協力をしてくださったので、その不安はすぐに解消されました。
また、検証期間中の私たちの「やっぱりこういう風に使いたい」「これに落とし込みたい」といった要件の変更に対しても、同じ目線で課題に寄り添ってくれました。このような伴走支援も信頼と安心感に繋がったと感じています。

読み取りからRPA連携で、基幹システムへ自動登録

—現在、どのように「RECERQA Scan」を実業務に組み込んでいますか?

Y.M様: 現在は、医療機関から届く請求書一式と、お客様から紙でいただく請求書類の処理業務にRECERQA Scanを組み込んでいます。
フォーマットや言語が異なる請求書や領収書、診断書等をRECERQA Scanで読み取り、結果を確認した後、RPAと連携して基幹システムへ自動で登録しています。

—導入後に困ったことはありましたか?

M.N様: 今まで手入力していた作業から「スキャンして、AIが読み取ったデータをチェックする」という新しい役割に変わるため、慣れるまでは戸惑う現場の声もありました。取り込んだデータのどこをチェックするのかの手順書を作ってレクチャーしていましたが、最初は時間がかかってしまいました。

あとは、はじめて設定変更を行ったときは「本当にできるかな?」と少し不安でしたが、事前に武田さんから設定方法の説明書をいただいていたのでそれに沿って設定したら、思ったより簡単に直すことが出来ました。あのときは安心しましたし、自社でメンテナンスできるんだなと実感できました。

請求書1件あたりの処理時間が、約20分から約10分に

—導入から半年ほどですが、効果はありましたか?

Y.M様: はい。導入前は、レシートなどを担当者が自分で読み取って、Excelの計算シートに入力し、算出した支払金額のみを基幹システムに投入していたので、必要な情報が一元的に管理されておらず、判断の根拠となるデータも十分に記録・蓄積できていませんでした。しかし現在は、書類の明細情報がそのままシステムに入るので、Web請求と同等のレベルで、紙の請求についてもデータを保持できるようになったことが、大きな変化です。

また、査定担当者は、AIが読み取った結果と実際の帳票画像を画面上で確認・最終チェックをするだけで済むため、手入力の負担が大幅に軽減されました。
まず、医療機関から届く請求書の処理時間は、導入前は1件あたり約20分かかっていたものが、導入後は約10分になり、約50%削減することができました。今後さらなる自動化を進めることで、約70%の削減を目指しています。

従来は、お客様からお問い合わせをいただいた際に、保管している紙の請求書類を確認する必要があり、その場ですぐに回答できないケースがありました。しかし現在は、システム上で請求内容が確認できるようになり、従来よりもタイムリーかつスムーズに対応できるようになりました。査定スピードも上がったので、お困りのお客様をお待たせすることが少なくなったと感じています。

あとは、課題であった通貨の判別が自動でできるようになったので、手動での為替レート確認や電卓計算が不要になり、読み取った通貨情報を後続のシステム処理に連携することで、為替レートの確認・計算に伴う手作業の削減にもつながっています。これにより、通貨判別やレートの確認・計算に伴う手作業が減り、入力・計算ミスのリスク低減にもつながっています。

Web請求でも、お客様の入力負担を減らす仕組みへ

—最後に、今後の展望や、これからリチェルカと実現していきたいことを教えてください。

Y.M様: これまでは社内業務の効率化に焦点を当てて取り組んできましたが、今後は保険契約者様の利便性向上に直接繋げていきたいと考えています。現在はお客様がWeb上で保険金の請求手続きをされる際、ご自身で日付や金額、支払先などをレシート画像から見ながら手入力していただいています。このステップを、お客様がWeb上でレシート等の画像をアップロードすると、必要な情報が自動で読み取られ、入力の負担をできるだけ減らせる仕組みの実現に向けて現在リチェルカさんと取り組みを進めています。

また、現在は紙でのご請求の際に、口座情報の確認業務にRECERQA Scanを活用していますが、これをWeb請求でも展開していきたいと考えています。Webからアップロードされた画像から口座情報を自動抽出し、口座情報の入力間違いによる振込エラーを極力なくすことで、お支払いの遅延を防ぎ、お客様に確実かつ、さらに迅速なお支払いをできる仕組みを整えていきたいです。

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